Y S D Yamada Noriaki Structural Design Office
山田憲明構造設計事務所
写真提供 白鷹町、環境デザイン研究所
町産スギ製材を活用した
多雪区域の木造2階建て複合施設
白鷹町は町全体の65%を森林が覆うが、戦後植林されたスギ材が活用されず、山が荒れていた。そこで本施設建設を契機として、⽊材活用、植林、育林、そして再び木材を活用するという「緑の循環システム」の構築を目指すこととなった。その一環として、地元の製材事業者や住宅建設会社からなる計6社が⽊材乾燥施設の運営会社としておきたま⽊材乾燥センターを設立、町産木材供給を担った。
1.5mの積雪荷重、集会室や庁舎の積載荷重、大スパン等の厳しい設計条件に対して、平角材の活用を鑑み、次の構造を考案し、建物に組み込んだ。
①格子耐力壁
透過性とデザイン性の高い格子耐力壁を開発し、実験により
壁倍率相当で13.3倍の高耐力を得た。柱脚には意匠性と高耐力
を確保するためにLSB接合を採用。
この格子耐力壁を主に道路側のファサードに用いて開放性と
耐震性を両立。
②折線アーチ屋根
大会議室(スパン16.9m)や中会議室(スパン12.5m)の
大空間の屋根を、2材を束ねた平角材を折線状のアーチ構造で
架け渡した。
③合わせ梁と重ね梁を組み合わせた床構造
広さ12.5m×15.5mの執務スペースの2階床構造を、合わせ梁
と重ね梁と独立柱の組み合わせにより平角材で実現。柱の多くに
も平角材の合わせ材を採用。
④合わせ梁と嵌合接合を組み合わせたトラス梁
スパン11.4mとなる町民ラウンジ上の2階床構造を、上下弦材に
合わせ梁を用いた嵌合接合によるトラス構造により平角材で
実現。
白鷹町まちづくり複合施設
所在地 山形県西置賜郡白鷹町
建築設計者 仙田満+環境デザイン研究所
構造設計者 山田憲明構造設計事務所
山田憲明 杉本将基
施工者 那須・鈴木特定建設工事共同企業体
建物規模 延床面積 4558㎡
階数 地上2階
主要用途 庁舎、図書館、公民館
主要構造 W
設計期間 2015年9月~2017年3月
工事期間 2017年7月~2020年1月
掲載 日経xTECH(クロステック)
新建築2021年5月号
内閣総理大臣賞(最優秀賞)